知る・学ぶ

2023年10月号

東京都を支ささえる仕事❸ 正しい計量けいりょうを守り、都民とみんの安心を支ささえる縁えんの下の力もち　計量検定所けいりょうけんていじょ

みなさんは、「はかる」と聞いたら、どんなことを思おもい浮うかべますか？

健康診断けんこうしんだんで体重をはかったり、熱ねつっぽいな、と感じたときに体温をはかったりしますね。おうちで毎日使う水や電気、ガスはメーターではかった使用量りょうによって料金りょうきんを払はらっています。また、お店で買い物をするとき、お肉やお魚のラベルに書いてある値段ねだんは、重さによって違ちがうことに気が付いたことはありませんか。このように、くらしには「はかること」＝「計量けいりょう」が深くかかわっているのです。

ところでみなさんは、体重計、体温計、水道などのメーター、お店のはかりなどの「計量器けいりょうき」が正しくはかれているか、あまり意識いしきしませんよね？わたしたちが当たり前だと思っている「正しい計量けいりょう」を守って、都民とみんの安全で安心な暮らしを支ささえているのが「計量検定所けいりょうけんていじょ」です。いったいどのようにして正しい計量けいりょうを守っているのか、仕事現場げんばをのぞいてみましょう。

法律に基づいて、計量器が正しいかを検査する

計量器けいりょうきの中でも、わたしたちのくらしや健康けんこうに深くかかわる計量器けいりょうきは、正しいかどうかの検査けんさ（「検定けんてい」といいます）をしなければなりません。これらの計量器けいりょうきは、検定けんていに合格ごうかくしていないと使うことができません。

検定けんていに合格ごうかくした計量器けいりょうきには、「検定証印けんていしょういん」「基準適合証印きじゅんてきごうしょういん」がつけられています。おうちの体温計などを見てみましょう。小さいしるしがついているのが分かりますか？

では実際じっさいに、どのように計量器けいりょうきの検定けんていを行っているのでしょうか。

検定けんていは、「計量器けいりょうきのしくみが正しいか」、基準きじゅんとなる計量器けいりょうきと比くらべて、「はかった値あたいが正しいか」を検査けんさするものです。検査けんさの内容は計量器けいりょうきの種類しゅるいによって異ことなります。重さをはかるはかりや分銅ふんどうなどの「質量計しつりょうけい」の検査けんさを担当たんとうしている庄司匡範しょうじまさのりさんに聞いてみました。

「みなさんも理科の実験じっけんで分銅ふんどうを使ったことはありませんか。質量計しつりょうけいの検査けんさでは、使われる前の分銅ふんどうやはかりについて、基準きじゅんとなる分銅ふんどう（基準分銅きじゅんふんどうといいます）を使って検査けんさします。一口にはかりといっても、体重計やお店のはかりのほか、薬局で薬の重さをはかるものであったり、トラックに積つみこんだ荷物の重さをはかるものであったり、使い方や使う場所は様々です。そのため、検定けんていに使う基準分銅きじゅんふんどうは、1㎎（1グラムの1/1000）から、クレーンでないと持ち上げられない１トンもの重さのものもあるのです」。法律ほうりつで決められている計量器けいりょうきは、その一つ一つを検定けんていする必要ひつようがあります。

基準分銅の最軽量は1㎎（1グラムの1/1000） — 測定に使う基準分銅は1㎎（1グラムの1/1000）から1トンまで！

では、検定けんていは一度合格ごうかくすればよいのでしょうか？

計量器けいりょうきによっては有効ゆうこう期間があるものがあるので、使つかい続つづけるにはもう一度検定けんていを受けるか、新しい計量器けいりょうきに取りかえる必要ひつようがあります。とくにはかりや分銅ふんどうなどは２年に1回、お店や学校、薬局など使っている場所で定期的ていきてきに検査けんさを行っています。

「計量器けいりょうき」にはいろいろなものがあります

▷環境かんきょうをはかる計量器けいりょうき

わたしたちの身の回りでは、道路や飛行機ひこうき、鉄道、工場や工事現場げんばなどで、音や振動しんどうなどが一定の大きさにおさまるように、法律ほうりつなどで基準きじゅんやルールを定めて、みんなにとってよい環境かんきょうを守っているしくみがあります。そうした目的もくてきのために騒音そうおんや振動しんどうをはかる計量器けいりょうきについても、計量検定所けいりょうけんていじょで検査けんさしています。

東京都計量検定所で環境計測計担当の鈴木麗子（すずき・れいこ）さん — 担当の鈴木麗子（すずき・れいこ）さん

▷距離きょりをはかる計量器けいりょうき

タクシーは車に取とり付つけたメーターで走った距離きょりをはかり、料金りょうきんを支払しはらうしくみになっています。検定所けんていじょには、都内に３か所のタクシーメーター専用せんようの検査場けんさじょうがあり、毎年、約やく４万6千台（全国の約やく２割わり）のメーターを検査けんさしています。

計量検定所けいりょうけんていじょではほかにもいろいろな計量器けいりょうきを検査けんさしています。

毎年、夏休みには「親子はかり教室」を開催かいさいして、検定所けんていじょの検査けんさ室の見学も行っているので、ぜひ応募おうぼして体験たいけんしてみてください。

都民とみんの生活の安心と安全を支えるために

検査けんさはどんな人たちが行っているのでしょうか。東京都計量検定所の宮内翔みやうちしょうさんに聞いてみました。

「『技術職ぎじゅつしょく』で採用さいようされた都の職員しょくいんには機械きかいを任まかされる仕事があり、水が安心して使つかえるように、また電車が安全に走れるように、水道や電車を点検てんけん、修理しゅうりしていつもよい状態じょうたいが保たもてるようにする仕事などがあります。検定所けんていじょで行っている計量器けいりょうきの検査けんさには特別とくべつな資格しかくは必要ひつようありませんが、検査けんさの結果けっかが都民とみんのみなさんの生活の安心と安全を左右するため、一つ一つの作業を常つねに正確せいかくに行うことを心がけています。専門的せんもんてきな機器ききを慎重しんちょうにあつかうため、担当たんとうになった計量器けいりょうきについて知識ちしきを深め、経験けいけんを積つむことが大切です」と宮内さん。

「たとえば薬屋さんで誤あやまった量りょうの薬をはかると、人の命にもかかわることにつながります。タクシー料金りょうきんや電気料金りょうきんなども正しくはかれないと、安心できませんし、社会が混乱こんらんしてしまいます。ですから、間違まちがえてはいけないというプレッシャーで、とても神経しんけいを使います」と話してくれました。

こうして正しい計量けいりょうは守られていることで、わたしたちは安心して生活することができているのですね。

計量けいりょうの世界に近づこう！

▷計量展示けいりょうてんじ室

東京都計量検定所けいりょうけんていじょの２階には、「計量展示けいりょうてんじ室」があり、だれでも無料むりょうで見学することができます。（土曜、日曜、祝日しゅくじつは休み、午前９時から午後４時まで）ここには、江戸時代えどじだいから現代げんだいまでのさまざまな計量器けいりょうきなどが展示てんじされていて、計量けいりょうの歴史れきしを知ることができます。

東京都計量検定所けいりょうけんていじょ　
江東区こうとうく新砂しんすな3-3-41（地下鉄ちかてつ南砂町みなみすなまち駅3番出口より徒歩とほ８分）

▷イベントのお知らせ　11月1日は計量記念日けいりょうきねんび

11月1日の計量記念日けいりょうきねんびに、「都民とみん計量けいりょうのひろば2023」が開催かいさいされます。健康けんこう、環境かんきょう、食品、エネルギーなど、わたしたちのくらしと強く結むすびついている計量けいりょうのことを楽しく紹介しょうかいします。計量けいりょうゲームやクイズ、工作コーナーでは棒ぼうはかりや寒暖計かんだんけいづくりのプログラムも。みなさんもぜひ参加さんかして、はかりの秘密ひみつにせまってみては？