都内とないの施設しせつで夏休みの「自由研究」のヒントを見つけよう

もう少しで夏休み。もう自由研究のテーマは決めましたか？ 東京都には、自由研究の題材だいざいがみつかりそうな施設しせつがたくさんあります。そのひとつ「江戸えど東京たてもの園」を紹介しょうかいしましょう。東京都小金井市こがねいしにある江戸えど東京たてもの園の広大な敷地しきちには、江戸時代えどじだいから昭和中期にかけて建たてられた、貴重な歴史的れきしてき建造物けんぞうぶつが30棟むねも展示てんじされています。住宅じゅうたくやお店屋みせやさんまで、当時の人々が実際じっさいにどんな生活や商売をしていたのか分かる道具や、売られていたものも再現さいげんされていて、昔の人たちのくらしが、いきいきと伝つたわってきます。

さあ、中をのぞいて自由研究のテーマにつながる疑問ぎもんや気になるところを見つけましょう。

昔の生活を想像そうぞうし、今のわたしたちの生活と比べてみよう

まずは、昔の人たちが実際じっさいに住んでいた家を見てみましょう。西ゾーンの一番いちばん奥おくにあるのが、大きな農家の「吉野家よしのけ」です。吉野家よしのけは、江戸時代えどじだいに野崎村のざきむら（現在げんざいの三鷹市野崎みたかしのざき）をとりしきった名家だったといわれています。かやぶき屋根の大きな建物たてものは江戸時代えどじだい後期に建てられたもので、小金井市こがねいし指定してい有形ゆうけい文化財ぶんかざいになっています。

正面やや左側ひだりがわに、瓦屋根かわらやねがついた立派りっぱな玄関げんかんがありますが、ここは特別とくべつなお客様を迎むかえるときだけ使い、家族はふだん建物たてもの右側みぎがわにある大きな引き戸（大戸口）から出入りしていました。家の中に入ると土を固かためた広い土間が広がり、一段いちだん上がった板の間に家族が集まる囲炉裏いろりがあります。

この家は昭和30年代まで人が住んでいたものを「移築いちく」。150年以上前の江戸時代えどじだい後期の建物けんちくですが、室内の生活用具はそのころのものが展示てんじされています。家族のくらしの場であるとともに立派りっぱな玄関げんかんや客間など、たまに来るお客様をもてなすことも考えたつくりになっています。

くらしを支ささえる道具に注目してみよう

西ゾーンの入り口、エントランス広場の近くにあるのが、「田園調布でんえんちょうふの家（大川邸てい）」です。現在の東京都大田区田園調布でんえんちょうふに1925年（大正14年）に建たてられた洋風の住宅じゅうたくで、当時鉄道省てつどうしょうの技師ぎしが、家族4人とお手伝てつだいさんの合計５人で住んでいました。都心から離はなれ、働はたらく人の心が休まるように「田園のような町に」という考え方から計画された町の開発は、現在げんざいの田園調布でんえんちょうふの町並まちなみにも受うけ継つがれています。

大川邸ていは全室が洋室となっていて、どの部屋へやも窓まどが広く、明るい日がさしてきます。吉野家よしのけとちがって客間はなく、家族が中心の生活を重視じゅうししたすてきな設計せっけいです。

リビングルームにはピアノが置おかれ、台所には氷冷蔵庫れいぞうこもあります。電気冷蔵庫れいぞうこが家庭に広がる昭和30年代までは、上の段だんに毎日氷を入れ、その冷気れいきで下の段だんの食品を冷ひやす仕組みの、この氷冷蔵庫れいぞうこが使われていました。台所のすぐ隣となりには、当時住すみ込こみで勤つとめていたお手伝てつだいさんのお部屋へやもありますよ。

コラム：これは何でしょう？

実はこれは、昔のアイロン。電気アイロン同様に布地ぬのじのしわを伸のばすための道具ですが、丸い形の鉄製てつせいの器うつわの中に炭火を入れて熱ねっして使います。木製もくせいの柄えの部分をつかんで、適度てきどな温度になった器うつわの重みで布地ぬのじのしわを押おし伸のばすように使いました。こうした、一見使い方のわからない道具に注目して、調べてみるのもよいかもしれません。

人々のくらしを支ささえた昔のお店

東ゾーンの中央には「下町中通り」と名付なづけられた通りがあり、この道に沿そって商店街しょうてんがいが再現さいげんされています。

通りの突つき当あたったところにはひときわ目立つお寺のような大きな屋根の建物たてものがあります。これが、1929年（昭和４年）に建たてられた「子宝湯こだからゆ」という銭湯せんとうです。まるで、スタジオジブリのアニメ映画えいが「千せんと千尋ちひろの神隠かみかくし」に出てきたお風呂ふろ屋さんのようです。

「千せんと千尋ちひろの神隠かみかくし」と言えば、薬湯を調合するキャラクター釜爺（かまじい）が働はたらく部屋へやには壁一面かべいちめんに小さな引き出しが並ならんでいたのを覚おぼえていますか？　そのイメージのヒントになったと言われる棚たなが、同じ通りの「武居たけい三省堂さんせいどう」（文具店）にあります。

また、下町中通り入り口に展示てんじされている車両は渋谷しぶやと新橋をつないでいた路面電車「都電7500形」で、これも乗ってみると、「千せんと千尋ちひろの神隠かみかくし」に出てきた電車みたいに思えてきます。

話を子宝湯こだからゆに戻もどしましょう。昭和初期しょきの日本では、お風呂ふろがある家は多くありませんでした。そのため温泉おんせんの大浴場だいよくじょうのように大きな浴よくそうがある「銭湯せんとう」が町にたくさんあり、お金を払はらって入っていたのです。

壁かべにある看板かんばんやポスターも昭和30年代の様子を再現さいげんしてあります。女湯には、赤ちゃんを世話できるようなベビーベッドも！　お母かあさんが風呂ふろに入るときに、知り合いなどに自分の赤ちゃんを見てもらっていたそうです。ご近所さん同士どうし、銭湯せんとうで子どものお世話をして助け合っていたんですね。

江戸東京たてもの園には、このほか和傘わがさ問屋、乾物屋かんぶつや、荒物屋あらものやなどが移築いちくされていて、まるでタイムスリップしたかのような気分が味わえます。

「丸二商店」や先ほど釜爺(かまじい)の部屋へやのイメージのヒントになったと紹介しょうかいした文具店「武居たけい三省堂さんせいどう」は、建物たてものの前面が銅板どうばんやタイルで覆おおわれた「看板建築かんばんけんちく」と言われる造つくりになっています。1923年（大正12年）に、死者・行方不明者ゆくえふめいしゃ10万人以上いじょうという大きな被害ひがいが出た「関東かんとう大震災だいしんさい」が東京を中心とした地域ちいきで起こりました。看板建築かんばんけんちくは、その後建たてられた木造もくぞうの商店で、火災かさいでも燃もえにくいように正面に銅板どうばんやタイルをはったのです。

建物たてものや展示物てんじぶつを見ていくと、ゾウやライオン、ミミズク（ふくろうの一種いっしゅ）、ツル、チョウなどいろいろな生き物のデザインがあちこちで見られます。どのような生き物がどんなところに隠かくれているのか、調べてみるのもおもしろいですね。

取材協力しゅざいきょうりょく：江戸えど東京たてもの園

都内の施設しせつに遊びに行ってみよう

東京都には興味きょうみを広げられる施設しせつがたくさんあります。みなさんの自由研究のテーマもたくさん見つかりそうですね。自由な発想で自由研究のヒントを見つけ、あなただけの発見をまとめてみましょう。

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