2025年7月号
環境と未来のために 一人ひとりが「HTT」でできること

日本の夏はとても暑く、最高気温が35度を超える日もめずらしくありません。暑い夏を健康に過ごすためには、エアコンやせん風機を迷わずに使うことが大切です。エアコンやせん風機を動かすために必要な電気は、夏を乗りきるために欠かせないものです。
東京都では、都民や会社と協力して、電気を「Hへらす」「Tつくる」「Tためる」取り組みを行っています。使う電力を「Hへらす」だけでなく、環境にやさしい方法で電気を「Tつくる」ことや「Tためる」ことも広がってきています。「Tつくる」「Tためる」について、どんな技術や方法があるのか注目してみましょう。

電気はどうやってつくられる?
みなさんの生活は、電気に支えられています。ふだんから、明かりをつけたり、洗たく機やそうじ機を使って身の回りをきれいにしたり、エアコンをつけて過ごしやすい温度にしたりするのに、電気を使っています。テレビやタブレットたん末を使うにも、電気が必要です。
電気をつくるための方法は、大きく分けて2種類あります。

一つは石油・石炭・天然ガスなど「化石燃料」を燃やした熱で蒸気をつくり、この蒸気で発電機につながった巨大なタービンを回すことにより電気をつくっている火力発電です。「化石燃料」は、限りある資源のため、使い続けるとなくなってしまうものばかりです。また、「化石燃料」を燃やして電気をつくる時には、地球温暖化の原因の一つである二酸化炭素がたくさん出ます。
もう一つは、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなどの「再生可能エネルギー」を利用して電気をつくる方法です。「再生可能エネルギー」は、自然の力を利用しているため、使ってもなくなる心配がありません。さらに、「化石燃料」と違い、「再生可能エネルギー」は電気をつくる時に二酸化炭素を出しません。
二酸化炭素を出さない「再生可能エネルギー」による発電は、地球温暖化防止のために、さらに重要になってきますね。東京都では、こうした環境にやさしい発電を広める取り組みも進めています。

二酸化炭素を出さない太陽光発電
再生可能エネルギーの一つである太陽光による発電は、たとえば家の屋根に太陽光パネルを設置することで始めることができます。東京都内で太陽光パネルを設置している住宅の割合は、まだ4%程度です。しかし、今年(2025年)4月から、住宅をつくる会社などに対し、新築住宅に太陽光パネルの設置を義務づける制度が始まりました。これからは、屋根に太陽光パネルをつけた家が増えていくことになりそうです。
東京の太陽光発電について知りたいときは、「東京ソーラー屋根台帳」を見てみましょう。
東京ソーラー屋根台帳は、東京都内の建物が太陽光発電に適しているか一目でわかる地図がのったサイトです。知っている建物が太陽光発電に適しているかどうか、チェックしてみてもおもしろいですよ。
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💡豆知識
期待の太陽電池「次世代型ソーラーセル」って?
現在、一般的に使われている「シリコン系太陽電池」は、かたく、厚みがあるものです。これに対して、薄くて軽く、曲げることもできるのが「次世代型ソーラーセル」。次世代型ソーラーセルの登場によって、今までは設置が難しかった屋根や壁、曲面など、太陽電池が設置できる場所が増えると期待されています。東京都では、この次世代型ソーラーセルを広めるために、さまざまな取り組みを行っています。
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電気をためる技術
発電した電気を「Tためる」ための技術も大きく進んでいます。太陽光パネルと蓄電池を設置し、太陽が出ている間につくった電気を蓄電池にためておくことで、夜も太陽光で発電した電気を使うことができます。また、太陽光パネルと蓄電池があれば、地震などで停電が起きたときにも電気を使うことができ、「災害への備え」にもなります。
そして最近では、ガソリンではなく電気で走る「電気自動車」が増えてきています。電気自動車には、専用の機器と組み合わせることで、車そのものを「蓄電池」として使うことができるものもあります。バッテリー容量の大きいものだと、ふつうの家庭で使う約6日間分の電気をためることができます。
自分の家の太陽光パネルでつくってためた電気を、自動車やふだんの生活など、自分たちでつかうことができる技術が進化しているんですね。
私たち一人ひとりが家庭でできること
世界では、「気温上昇1.5度未満、2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロ」という共通の目標をかかげています。東京都も、2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにすることを目指す取り組みを進めています。
みなさんの家庭でも、電力を「Hへらす」「Tつくる」「Tためる」のHTTに取り組むことで、環境に気を配りながら生活することができます。
特に「Tつくる」と「Tためる」は、技術の発達により大きな効果が期待できます。東京都は、太陽光パネルを設置したり省エネ性能の高い住宅を買ったりするときに補助金を出すなどして、家庭や会社に協力を呼びかけています。
すぐに取り組みやすいのは、使う電気を「Hへらす」ことです。簡単に取り組める節電方法でも、みんなで取り組めば多くの電気をへらすことができます。

みんなでできる節電
〇ぬれた髪はしっかりタオルでかわかしてからドライヤーをかけよう
〇見ていないテレビは消そう
〇使わない部屋の電気は消そう
〇冷蔵庫のむだな開け閉め(または開けている時間)をへらそう
〇早くねよう
大人にやってもらおう
○エアコンのフィルターをこまめにそうじする
○照明は、蛍光灯や白熱電球から消費電力が少ないLEDに交換する
○冷蔵庫の庫内温度の設定を「中」にするなど適切に調整。ただし、食品の傷みには注意
○夏は、トイレの電気便座と洗浄温水の温度設定を調整する
このほか、電気をたくさん使う古いエアコンや冷蔵庫などを、省エネ型の新しいものに買いかえることでも使う電気をへらせます。東京都では、省エネ性能の高い家電を買うときに値引きが受けられる制度もあります。
家庭でできる「Hへらす」取り組みはまだまだあります。
小学生のみなさん、この夏、環境のためにできることをまとめて家族と一緒にチャレンジする「かんきょうマンダラート」をつくって、節電に取り組んでみませんか。「かんきょうマンダラート」を提出してくれた方から、抽選で15組30名の子どもとその保護者を「東京2025世界陸上」決勝戦に無料でご招待します。
すぐに取り組むことができる「HTT」はたくさんあります。身の回りを探して、おうちの人と一緒に始めてみましょう。

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