2025年8月号
「自分らしく生きる」って、どんなこと?

みなさんは、自分の思いや意見をまわりの大人や友だちに伝えることができていますか?
「言っても聞いてもらえない」と自分の思いを伝えることをあきらめていませんか?
こどもの権利が大切にされ、みなさんが幸せに過ごせるように、2021年に「東京都こども基本条例」ができました。この条例は、国連の「子どもの権利条約」の考え方をお手本につくられています。
東京都は、この条例をたくさんの人に知ってもらうために、こどもたちと一緒にハンドブックや動画を作りました。
東京都こども基本条例解説動画を見て考えてみよう!
「東京都こども基本条例」の第10条は、「こどものことを話したり、決めたりするとき、こどもは思ったことを言えます。大人はこどもの意見を受けとめて、しっかり向き合っていきます」としています。
芸人・漫画家の矢部太郎さんが、こどもたちといっしょに作った【ねこちゃん】の動画を見てみましょう。
ある女の子が、雨の中、捨てねこを発見。おもわずうちに連れて帰ります。でも、親たちは「うちではかいません」、「大人が考えてあげるから」と言います。


こんなとき、あなたならどうしますか?
動画では、ねこちゃん、ソファやペットボトルたちが、「こどもが意見を言えないのはへんだよ」「こどもも意見を言っていいんだ」とはげましてくれます。
ぜひ、家族や友達といっしょに動画を見て、自分の意見を伝えることの大切さについて考え、話し合ってみてください。

「男の子だから」「女の子だから」という思いこみ
みなさんが毎日使っているランドセル。今ではいろんな色のランドセルがあって、その中から自分の好きなものを選ぶことができますね。だけど、20年以上前までは、ランドセルの色は、男の子は黒、女の子は赤がふつうでした。ランドセルの色だけでなく、「男の子だから」「女の子だから」と、習い事や遊びの種類を決めつけたり、決めつけられたりすることはありませんか? このように、性別などいろいろな情報から、自分や相手、物事を、「きっとこうだ」と思いこんだり、決めつけたりすることを「無意識の思いこみ」といいます。思いこみや決めつけで行動してしまうと、気づかない間に友達を傷つけてしまったり、チャンスをのがしたりしてしまうことがあります。
東京都では令和4年に、性別による「無意識の思いこみ」についてのエピソードを募集したところ、1317件もの応募がありました。その中から100件を選んで、「エピソード100選」としてまとめています。
たとえば、ある小学生の女の子から、こんなエピソードが寄せられています。

「わたしは、みずいろがすきです。ようふくをかうおみせも、ぶんぼうぐをかうおみせも女の子ようは、よくぴんくのものがおおいです。ぴんくいろはきらいじゃないけれど、みずいろのほうがかわいいとおもっています。(中略)ヨーヨーつりでしっぱいして一つもとれないと、女の子だからぴんくがいいねとわたされます。おまけでくれるふうせんもぴんくをわたされます。せっかくわたしてくれたのに、みずいろやあおがいいといえません。(中略)男の子よう女の子ようときまっていないのがうれしいです。」
ピンク色を好きな男の子や、水色や青が好きな女の子だっているのに、「女の子はピンクが好き」「男の子は青が好き」と思いこんでしまっている人たちもいます。どんな色が好きなのかは、個人の考え方や感じ方によって違っているのです。性別などで決まっているものではありません。
「何がしたいのか」「どんなものが好きなのか」は、自分の「好き」を大切にして決めましょう。そして、そういった自分の意見はまわりの大人にこわがらずに伝えてください。大人はこどもたちの意見をしっかり受け止めて、向き合う努力をします。
自由に選ぶ権利 自分の好きなことを見つけよう
「将来つきたい職業」について小学生を対象に行われた調査では、以下の結果となりました。

これを見ると、性別によって「将来つきたい職業」に大きな差があるように見えますね。でも、男の子がパティシエをめざしても、女の子がサッカー選手などのスポーツ選手になりたいと思っても、まったく不思議なことではないのです。今の時代は、たくさんの中から好きなものを選ぶことができ、「自分らしく」生活できるようになりました。こどもを育てる大人も、「こどもが周囲と違っていること」を不安に思わずに、こどもの考えを尊重してあげる必要がありますね。
心のモヤモヤ どんなことでも話してみよう
自分の好きなことについて、みんなと違っているからと、はずかしく思ったり、人に言えなかったりしたことはありませんか?「自分らしく過ごしたい」と思っても、モヤモヤとした不安な気持ちになることもあるかもしれません。そんなときはだれかに相談してみると、心がすっきりするかもしれませんね。
東京都は、今年1月から「ギュッとチャット」という相談サービスを始めました。「ギュッとチャット」では、顔を見せず、名前も出さずに、チャットで気軽に相談相手と話すことができます。東京都の担当者がこどもたちの意見をたくさんきいて、その声をもとにつくられたサービスです。こどもたちのいろいろな悩みや不安を、心理士や元教員、看護師、大学院生のおにいさん・おねえさんなどに相談できます。お金はかかりません。「ギュッとチャット」は今年1月から始まったばかりですが、6月までの半年で2400件を超える相談が来ています。年齢別では、「12歳以下」のみなさんが一番多く、10人に4人以上でした。

「仲良しの友だちとケンカしちゃった…」「きんちょうするとうまく話せない…」のような日常生活の相談でも、勉強のことや将来のこと、どんなことでも相談にのってくれます。
特に、長いお休みが終わって新学期が始まるタイミングは、「宿題が終わっていない」「このままずっと夏休みだったらいいのに」など、不安を感じやすいかもしれません。東京都では、みなさんの不安な気持ちに寄りそいながら、安心して過ごせるようにサポートしています。一人でかかえこまず、気軽に相談してみてくださいね。
「東京都こども基本条例ポスターコンクール」開催中!
現在、「東京都こども基本条例」を多くの方々に知ってもらうための、小学生向けのポスターコンクールを開催しています(しめきり:9月16日)
このコンクールは、「テーマを決めること」「ポスターをえがくこと」「入賞作品を選ぶこと」などのプロセスにこどもたちが参加します。最優秀作品はラッピングバスのデザインに採用されます。
今回のテーマは、「こどもが夢にチャレンジできるまち 東京」です。
「自分らしく生きる」ことは、みなさんの将来の夢にもつながります。
なりたい職業や世界一周など、やりたいことについて夢をかなえた姿、それに向けて取り組む姿について、自由にえがいてみませんか。
みなさんの応募をお待ちしています!
❖東京都こども基本条例ポスターコンクール
https://www.kodomoseisaku.metro.tokyo.lg.jp/tokyoto_kodomo-kihonjyourei/poster_competition

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