2025年6月号
一票が大切?選挙のしくみ基礎講座

みなさんは、「清潔なまちになったらいいな」「もっと安全・安心にくらせたらいいな」と思うことはありませんか?
みんなが幸せにくらすためのルールを決めたり、計画を立てたりするとき、代表になって話し合ってくれる人を選ぶしくみを「選挙」といいます。

選挙権(投票する権利)を持つ一人ひとりが、自分が一番いいと思った候補者に投票します。よりたくさんの票を集めた候補者が代表となり、その後の方向を決めていきます。クラス委員を投票で決めるのと同じですね。クラス委員はクラスのリーダーとして、みんなの意見をまとめたり、先生との連絡役をしたりしてくれます。
リーダーは重要な役目なので、その一票は、とても大切です。日本では18歳から投票できます。だれに投票するかによって自分の意思を示すことができます。みなさんも投票するときに備えて選挙について考えてみましょう。
選挙にはどんな種類があるの?
日本では、2016(平成28)年から18歳以上のすべての国民が選挙権を持つようになりました。
この変更は、若い人の意見も社会に反映しやすくするために行われました。生まれるこどもが少なく、お年寄りが増えている日本ではお年寄りの意見が多くなりやすく、若い人の意見が集まりにくくなるからです。
選挙には大きく分けて、国会議員を決める「国政選挙」と、都道府県や区市町村など地方公共団体の長と議員を決める「地方選挙」の2種類があります。今年、東京都では6月22日に地方選挙の「東京都議会議員選挙(都議選)」、7月に国政選挙の「参議院議員選挙(参院選)」が行われます。
国政選挙と地方選挙
国政選挙には、衆議院の国会議員を選ぶ衆議院議員選挙(衆院選)と、参議院の国会議員を選ぶ参院選があります。


地方選挙には、都道府県ごとに行われる選挙と区市町村ごとに行われる選挙があります。それぞれ、トップと議員を選ぶ2種類の選挙があります。



🗳️国会議員を決める国政選挙
衆議院議員の任期は4年、参議院議員の任期は6年です。 国政選挙では、国民の安全なくらしや、外国との関わり方、これからの教育についてなど、国民全体に関わる大切なことを決めるために話し合う国会議員を選びます。

🗳️東京都で行われる選挙(地方選挙)
東京都で行われる選挙(地方選挙)を見ていきましょう。
東京都知事選挙(都知事選)は、約1400万人がくらす東京都のトップを選ぶ選挙です。都知事の任期は4年です。

都議選(地方選挙)は、42の選挙区から127人の都議会議員を選ぶ選挙で、任期は都知事と同じ4年です。
都議選(地方選挙)では、東京都をこどもから大人までだれもが住みやすいまちにするための計画など、みなさんの生活に関係する身近な課題について話し合う議員を選びます。
💡豆知識
選挙に立候補できるのは何歳?
投票することができるのは18歳以上ですが、選挙に候補者として届け出(立候補)できる年齢は、選挙によって異なります。衆議院議員、区市町村議会議員、区市町村長は満25歳以上、参議院議員と都道府県知事は満30歳以上です。

※満年齢…誕生日をむかえるたびに1歳ずつ増えていく、現在の年齢のこと
候補者が政策を訴える「選挙運動」とは
選挙が始まると、選挙に立候補する候補者による選挙運動が始まります。選挙運動期間は選挙によって異なります。

候補者は、決められた場所に選挙ポスターをはったり、大きな看板をつけた選挙カーで選挙区内を走ったりするほか、演説をしたり、住民を集めた集会を開いたりして、選挙権のある人に自分への投票を呼びかけます。これが「選挙運動」です。また、2013(平成25)年からはインターネットなどを利用した選挙運動もできるようになりました。

💡豆知識
こどもも選挙運動に参加できるの?
選挙運動は、候補者本人や、候補者を応援する人が行いますが、18歳になっていない人は選挙運動への参加が禁止されています。
選挙運動はできませんが、ニュースやインターネットなどで選挙について情報を集め、政治について理解を深めることも、政治参加の一つです。

投票所に行こう!さまざまな投票方法
選挙はわたしたちの安全・安心なくらしと直接関わっています。そのため、選挙権を持つ多くの人が投票しやすいようになっています。
投票は、投票日当日はほとんどが午前7時から午後8時まで、決められた投票所で行われます。投票日当日より前でも投票できる「期日前投票」もあるので、こうした制度を活用して、投票するよう心がけたいですね。

今度の選挙は、ぜひおうちの人と一緒に行って、投票所の様子を見学してみてください。
💡豆知識
みんなが投票しやすくなるためのしくみ
障害や病気などで投票所に行きづらい人でも投票できるように、いろいろなしくみがあります。
障害がある人は、家族やサポートする人や投票所の係の人に手伝ってもらうことができます。また、盲導犬などの補助犬を連れて投票所に入ることもできます。視覚障害がある場合は、点字で投票することもできます。


入院している人や、老人ホームなどでくらしている人は、その施設内で投票できる場合もあります。
条件はありますが、海外や船からも投票できます。
「一票の大切さ」を心に留めよう
選挙権を持つ人のうち、どれくらいの人が実際に投票したのかを表すのが「投票率」です。日本では長い間、投票率が低くなる傾向が続いていて、とくに若い人たちの投票率は低くなっています。
このグラフは、これまでの東京の選挙の投票率を年代別に表したものです。

選挙は、みなさんのリーダーを決める大切なものです。投票に行って自分の意見を伝えることが、みなさんのよりよいくらしにつながります。
みなさんも18歳になったら選挙で投票できるようになります。都議選と参院選が近い今、おうちの人と話をしたり、ニュースを見たりしながら、自分にとって一番いいと思う候補者を探す練習をしてみましょう。気になる情報をさらに調べてみると、自分たちのくらしへの理解も深まるかもしれませんね。

取材協力=東京都選挙管理委員会

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