知る・学ぶ

2023年5月号

日本で一番“最近さいきん”できた島「西之島にしのしま」と生態系誕生せいたいけいたんじょうのヒミツ

西之島の画像
2021年10月に撮影された西之島(提供:読売新聞社)
もくじ
父島の空撮写真
出典:国土地理院空撮写真

西之島
(にしのしま)
は、小笠原
(おがさわら)諸島
(しょとう)
の父島の西
(やく)
130キロメートルの太平洋上にある、面積
(めんせき)
4平方キロメートルの無人
(むじん)
島です。実はこの島、1973年と2013年以降
(いこう)
海底
(かいてい)
火山の大噴火
(だいふんか)

()

()
した溶岩
(ようがん)
などで大きくなった、新しい島なのです。西之島
(にしのしま)
では2019年の噴火
(ふんか)
によって島が溶岩
(ようがん)

()

()
まれ、
(りく)
の生物がほぼ消滅
(しょうめつ)
していました。ですから、何もない状態
(じょうたい)
から植物や昆虫
(こんちゅう)
鳥類
(ちょうるい)
などが島にどのように住みつき、生態系
(せいたいけい)
が作られていくのかをゼロから知ることができる、世界が注目している場所なのです。

噴火ふんか面積めんせきを広げた西之島にしのしま

西之島の歩み

西之島
(にしのしま)
は、1972年以前
(いぜん)
は、面積
(めんせき)
わずか0.07平方キロメートルしかない小さな島でした。それが、1973年から1974年の噴火
(ふんか)
により新しい陸地
(りくち)
が生まれ、島全体の面積
(めんせき)
は0.29平方キロメートルとなりました。その後、火山活動は休止していましたが、2013年11月に新たな火口から噴火
(ふんか)
しました。その後、何度も噴火
(ふんか)

()

(かえ)
し、島はもともとあった大きさの10倍以上
(いじょう)
面積
(めんせき)
に広がりました。

噴火を繰り返し、陸地の面積が拡大している西之島の写真
2021年8月に撮影。噴火を繰り返し、陸地の面積が拡大した西之島(提供:読売新聞社)

「生物のいない島」にどうやって生き物がすみつくの

西之島
(にしのしま)
では、火山の様子や島の自然
(しぜん)
変化
(へんか)
などを調べるため、専門家
(せんもんか)
などによる学術
(がくじゅつ)調査
(ちょうさ)
が行われてきました。2008年時点では、スベリヒユなどの植物やカツオドリなどの鳥が確認
(かくにん)
されましたが、2013年以降
(いこう)
噴火
(ふんか)
で、島の表面すべてが溶岩
(ようがん)
火山灰
(かざんばい)

(おお)
われてしまい、生物が全くいない島になりました。

スベリヒユの写真
2013年の大噴火以降見つかっていないスベリヒユ(提供:上條隆志氏)
トビカツオブシムシの写真
トビカツオブシムシ(提供:森英章氏)
クロアジサシ
クロアジサシ(提供:川上和人氏)

生態系誕生せいたいけいたんじょうのヒミツに世界が大注目

西之島
(にしのしま)
は、
(もっと)
も近い父島から130キロメートルも
(はな)
れている絶海
(ぜっかい)
孤島
(ことう)
です。人間が全く
(かか)
わらない新しい陸地
(りくち)
で、新たに動植物が定着していく過程
(かてい)
実際
(じっさい)
観察
(かんさつ)
できるのは、地球上でたった一つ、ここだけなのです。

西之島の生態系の仕組みの説明画像

2022年度の調査
(ちょうさ)
では、周辺
(しゅうへん)海域
(かいいき)
でイソギンチャクやエビ、カニなど70
(しゅ)以上
(いじょう)
の生物が確認
(かくにん)
されました。また、ドローンによる空中からの調査
(ちょうさ)
では、植物類
(しょくぶつるい)
は見つかりませんでしたが、カツオドリやセグロアジサシなどの鳥が
()
を作っていることが分かりました。今後、どのように生態系
(せいたいけい)
が作られていくのか、世界から注目されています。

南南西方から撮影された西之島の写真
2022年6月17日、南南西方から撮影された西之島(提供:海上保安庁)
2021年に撮影された西之島の南側の写真
2021年に撮影された西之島の南側(提供:環境省)

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