2026年3月号
だれもが楽しめる!「eスポーツ」の今を大発見
対戦型のコンピューターゲームやビデオゲームを「スポーツ競技」と考え、世界中のプレイヤーと競い合い、名前や年れい、性別を明かさなくても楽しむことができるのが「eスポーツ」です。eスポーツとは、エレクトロニック・スポーツの略で、パソコンやゲーム機を使って、頭のはたらきや手の動きの早さを使って戦うスポーツです。世代を問わず、多くの観客(視聴者)が動画で観戦するようになり、世界で注目されるようになりました。
今回は、その現場を訪れ、最新のeスポーツがどうなっているのかを探ってきました!
「東京eスポーツフェスタ2026」に行ってみた!
「こどもから高齢者まで誰もが気軽に参加でき、楽しめるイベント」をコンセプトに、2020年から毎年行われている「東京eスポーツフェスタ」。7回目となる今年は、2026年1月9日~11日の3日間、東京ビッグサイトで、eスポーツの競技大会や体験会のほか、家族で楽しめる学習企画などさまざまなイベントが行われていました。


会場に入って、まず目に入ってくるのが、「太鼓の達人」「パズドラ」「ぷよぷよ」など、だれもが一度は名前を聞いたことのあるような有名なゲームのトーナメント戦。予選を勝ちぬいたeスポーツプレイヤーたちによる決勝戦が行われていました。なかでも、「太鼓の達人 ドンカツカップ2025/2026」には一般部門のほかに小学生部門があり、準々決勝・準決勝・決勝とそれぞれのステージで課題曲が決められています。リズムに合わせて正確に太鼓をたたいた回数を競うこのゲームでは、「ゆうくん!」選手と「こころん」選手が決勝に勝ち上がり、課題曲「Surges」と「さいたま2000」で対決。おたがいにノーミスの「フルコンボ」を記録しますが、連打数の多かった「ゆうくん!」選手が優勝を勝ち取りました。小学6年生の「ゆうくん!」選手は、「優勝できると思わなかったので、言葉にならないほどうれしい。太鼓の達人は、小学校1年生から始めて、もう6年ほどプレイしている。連打をがんばるために、バチを強く持つ工夫をしました」と話しました。

Taiko no Tatsujin™Series & ©Bandai Namco Entertainment Inc.
みんなが知っているゲームのほかにも、ゲームをつくる人や障害のある人・ない人、eスポーツにあまりふれたことのない人まで、いろいろな人が楽しめるコーナーがありました。
Tokyo esports Game Development Contest 2026は、都内の中小企業や将来ゲームクリエイターを目指す学生などが参加する対戦型ゲームの開発コンテストです。ステージでは、応募者が開発したゲームについて熱く語っていました。そのステージ横には、審査員による選考を通過した作品を体験できるエリアもありました。来場者は熱気の中、工夫がこらされた多種多様なゲームを思い思いに楽しんでいました。



会場の中央には、eスポーツに関連する企業などのブースがありました。東京都からは「みんなのeスポーツひろば」や「つながる!eスポTOKYO」が出展。
「みんなのeスポーツひろば」では、まるで本当にボートをこいでいるような体験ができる「バーチャルローイング」を日本代表選手と楽しめるコーナーや、他のバーチャルスポーツや人気ゲームが体験できるプログラムが行われていました。「バーチャルローイング」は海の森水上競技場、「バーチャルサイクリング」では東京2020パラリンピックマラソンコースが舞台となっており、東京2020大会を感じることができました。また、福祉施設の方とゲストがオンラインで対戦したり、一般から募集した参加者がパラeスポーツプレイヤー(障害のあるeスポーツプレイヤー)に挑戦したり、障害のある人とない人がeスポーツの体験で交流する「つながる!eスポTOKYO」が昨年に引き続き出展されていました。
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そのほかにも、初心者でもeスポーツを楽しめるブースがたくさんありました。たとえば、競技大会で実際に使われている6つのゲームを、インストラクターに教えてもらいながら体験できるコーナー。ITのワークショップでは、ゲーム用パソコンの組立体験が行われており、参加した小学生のみんなは、ふだん使っているパソコンがどのような仕組みになっているか興味しんしん。夢中になって組み立てていました。


教えて!eスポーツのこと eスポーツキャスター・篠原光さんインタビュー
東京eスポーツフェスタ2026の総合MCを務めた「eスポーツキャスター」の篠原光さんに、そもそも「eスポーツ」とは、どういうものなのか、ゲームなのにどうしてスポーツと呼ばれているのか、いろいろ質問してみました。
―eスポーツとは、どのようなものか教えてください。
ぼく自身の定義では、対戦型ゲームの中で、「勝つための戦略を考えてプレイするもの」がeスポーツです。同じゲームをやっていても、友達ともり上がって楽しいだけであれば、それはゲームです。しかし、相手に勝つための作戦を考えて戦略的に取り組んでいるのであれば、それはeスポーツになります。勝つための戦略を考えるのは、将棋や囲碁と似ていますが、対戦型ゲームには1対1で戦うものだけではなく、5対5などチームで戦うものもあります。チーム戦の時は、攻撃・守備・サポートなど、役割分担をしてチームプレイをする必要があります。それはサッカーなどの団体競技とかなり近いと思います。

―eスポーツの歴史について教えてください。
eスポーツは、アメリカや韓国で始まり、今では大きな大会が開かれるようになりました。日本では、2018年ごろに「eスポーツ」という言葉が使われるようになったと思います。この年は、一般社団法人日本eスポーツ連合(今は一般社団法人日本eスポーツ協会)という団体ができたこと、そして韓国で開催された国際大会で日本人選手が活躍したこと、この2つの大きな出来事が重なりました。このころから、大会に参加する選手を応援する「観戦文化」も少しずつもり上がりはじめました。
海外ではパソコンを使ってゲームをするのが主流ですが、日本ではゲーム機を使ってゲームをするのが主流でした。そのため、パソコンを使うeスポーツの国際大会で日本人選手が成果を出すのは難しかったのです。しかし、コロナが広がる前の時期に、パソコンでもゲーム機でもできるゲームが登場し、日本でもeスポーツ人口が一気に広がったように思います。2020~2021年ごろはeスポーツのプレイヤーも観客もものすごい勢いで増えました。2022年にさいたまスーパーアリーナで開催された、シューティングゲーム「VALORANT(ヴァロラント)」の大会には、2日間で2万6000人もの観客がつめかけました。10代や20代の世界中の若い人たちがたくさん集まった大会。それは、ぼくがこどものころには想像もできなかったことです。そしてこの年、アイスランドの首都・レイキャビクで行われたVALORANT(ヴァロラント)の国際大会で、日本のチームが世界3位にかがやいた瞬間を見たことが、ぼくの人生を変えました。「この瞬間を日本中に伝えたい」という気持ちがおさえられなくなり、eスポーツキャスターになる決意をしました。
―eスポーツにはプロの選手もいるのですか?
はい。特にeスポーツ先進国の韓国では、有力チームはビルをまるまる1つ持っていて、その中で練習も休けいも食事もできるようになっています。そのチームの選手たちはそのビルにこもり、1日10時間以上も練習に明けくれています。日本でもトップクラスの選手になると、年収1億円以上という人もいると思います。
―eスポーツキャスターとはどういった仕事をするのですか?
ゲーム大会の実況を行う仕事が全体の8割以上ですね。実況で必ず語ることは主に3点あります。ゲームのルールについて説明する、勝つための戦術について語る、どういう頭脳戦を展開しているのか解説する―という感じですね。そしてぼくは、選手が育ってきた背景や選手としてどのような活動をしてきたのか、そういったことを伝えることも大切にしています。だれが見てもその選手のすごさがわかり、その選手に親しみをもって楽しんでもらえるような解説がしたいと、いつも考えています。

―今後、eスポーツにどのように発展してもらいたい、と考えていますか?
朝の情報番組では、前日のスポーツの試合結果を必ず取り上げますよね。eスポーツの試合結果も、同じように取り上げられるようになる。それが夢です。そうなることが、eスポーツが「文化」として日本の社会に根づいたことになると思うんです。
ゲームは、依存症などの問題がニュースとして取り上げられることによってネガティブなイメージを持たれることも多いのですが、本気でやるゲームには、たとえば部活やスポーツなどと同じように十分に意味があります。保護者のみなさんも、こどもに「ゲームばかりしちゃダメ!」としかるだけではなく、「どうやったらもっと勝てるようになると思う?」といった声かけをして、きちんと自分の力で考えながらプレイするようにみちびいてあげてほしいと思います。eスポーツをするこどもたちを、他のスポーツと同じように応援してくれるようになってほしいと願っています。
東京都のeスポーツの取り組み
このように、さらなるもり上がりを見せているeスポーツ。東京都では、eスポーツをより多くの人に知ってもらえるよう、さまざまな取り組みを行っています。
💡豆知識💡
さまざまな人がeスポーツを楽しめる東京都の取り組み
東京都や区市町村で行われているイベントにeスポーツのブースを出展しています。障害の有無にかかわらずさまざまな年代の人が体験し、障害のある人とない人がたくさん交流できる場をつくっています。
💻 eパラスポーツ
施設などの身近な場所で、障害のある人が操作できるように加工・開発されたコントローラーなどを使い、簡単な操作でeスポーツを楽しんでもらう取り組みです。


🎮 Smileパラスポ
障害のある人に、自宅などの身近な場所で家庭用ゲーム機などを使ってからだを動かしながらスポーツコンテンツを楽しんでもらう取り組みです。


eスポーツは年れいや性別に関係なく楽しめ、障害の有無にかかわらず対等に競い合うことのできる競技で、さまざまな大会で小中学生の存在感が高まっています。YouTubeなどの配信を通じて、観戦を楽しめるのもeスポーツのいいところです。東京都でも、だれもが楽しめるさまざまな企画を通じて、eスポーツにふれ合う機会を広げ 、魅力をみなさんに発信していきます。まだeスポーツにふれたことのない方は、実際に配信などを見て、好きなゲームやプレイヤーを見つけたり、自分でチャレンジしたりしてはいかがでしょうか?
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